2007年1月12日
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 国際島嶼医療学講座
嶽崎 俊郎、新村 英士
1.徳之島と与論島での調査
2年目の調査は2006年6月25日から7月16日まで徳之島の鹿児島県大島郡伊仙町と徳之島町、天城町で、それから船で与論島に移動して、同7月19日から23日まで与論町で行いました。徳之島の人口は27,526人で高齢化率は29.62%、与論島の人口は5,700人で高齢化率は28.4%です。方法は前年度と同様に、市町村が行う住民基本健康審査と一緒に行いました。今回は、対象者の約60%にあたる1,916名の方から生活習慣情報の収集と追跡調査の了解が得られました。
2.離島での調査で大変なこと
この研究を離島で行う上で重要なポイントは、血液処理が行える場所の確保です。というのも、採取した血液を出来るだけ早く分離して摂氏マイナス80度で凍結保存する必要があるからです。今回は慈愛会徳之島病院の協力が得られ、医師当直室を血液処理室とデータ処理室として利用させて頂き、大変助かりました。また、与論島では、今年度より利用が可能となった鹿児島大学与論活性化センター(旧与論町診療所跡)が活用できました。現地にも冷凍庫を持ち込んでいるため、数日間は血液検体を保存できますが、用量に制限があります。そのため、鹿児島から送ってもらったドライアイスを用い、3~4日ごとに鹿児島に送り返し、大学の研究室で大切に保存しています。
3.調査後の説明会
調査が終わって11か月後には健診の報告会があります。私達は全報告会に出向き、追加データの収集を行うとともに、生活習慣病予防の講演も合わせて行いました。私達は循環器疾患や脳血管疾患の予防や長寿との関連も調べるために、動脈硬化の検査もJ-MICC研究に加え、行っています。この結果は最近、話題のメタボリックシンドロームに直接関係し、大いに関心を持って頂きました。
4.追跡調査の開始
2006年12月には、前年10月に調査を行った沖永良部でも研究報告会を催しました。さらに、本研究で重要となる追跡調査も、対象者の方や地元市町村、医療機関の協力を得ながら、開始しています。